

今年はC、F、H問題の必修問題が難しい傾向にあった。 特にH問題は考えさせる問題が多く、付け焼刃的な知識では到底解くことはできないと思われる。また、全般的に80~90回前後の古い問題のリバイバルと思わせるような問題が散見され、過去5~10年程度の国家試験の過去問しか勉強していなかった学生諸氏には難しく感じたのではないだろうか。たとえ古い問題であっても、その知識が今でも通用し勉強しておかなければならない良問も数多くあるので、そうした古い問題についても、少なくとも1度は目を通しておいた方がよいということになるであろう。さらに、公衆衛生や法律・統計に関する問題は、重箱の隅をつくような奇問・難問が多かった印象がある。これらについても、日頃から醫亊情報に触れ、最新の知識や医療情勢について目を配っておく必要があるであろう。
第106回医師国家試験を解いてみて、前回と同様に比較的良問が揃っていると感じた。受験生に対して程よい厳しさと優しさがあり、資格試験のあるべき姿として歓迎される。ただやはり、前回もそうであったが、少々マニアックな問題が散見され、一部で題意が不明確な問題があった。さらには、特定分野への偏りがみられたことは難点かと思う。前々回(104回)は「女を見たら妊娠と思え」が多かったが、今回は「ぐったりしていたら輸液と思え」とまとめることもできる。
全体を通した出題内容であるが、バイタルに関わる循環器、呼吸器をはじめ内科系が増え、マイナーや産科が減ったように感じた。毎年「出る出る」と言われた乳癌、GIST、B細胞リンパ腫の分子標的療法も揃って出題された。過去問の一般問題で問われた事項が臨床問題で出題されたりもした(膵管胆管合流異常からの胆嚢癌など)。また、目新しい問題がネタ切れになったのか、第80回代のような古い問題で問われた事項が再現された問題も多かった。
セクションごとの特徴としては、
1.一般問題は基礎医学から臨床の最先端まで、幅広く出題されていた。暗記だけでとれる問題もあるが、要所要所で病態も問われていた(尿細管の模式図や新生児黄疸の生じる理由など)。公衆衛生は最新の統計も出ている。前回よりやや難化したと思う。
2.臨床問題は
A. キーワードや画像から診断させる問題
B. 診断がついてからその疾患の合併症などの一般問題的な知識を問う問題
C. 診断がついてから対応を考える問題
D. 診断がつかなくても対応を考える問題
と分けられるが、ここ数年の傾向で、A, BよりもC, Dの出題が増えてきた。今回は、必修臨床のような初期の対応を問うものが臨床問題の中でも散見された。とはいえ、点取らせ問題とも言える簡単な問題も多く、前回よりはやや易化かと思う。
3.必修問題は、必修一般でやや難問が多かったが、必修臨床では難問が少なかった。そのため、番狂わせで合否が決まる割合は少ないのではないかと思う。必修臨床も、上記2のCやDが多く、プライマリー重視の傾向がうかがえる。診断がついてから「おや、ちょっと待てよ」と一呼吸してから出題者の意図が浮かんでくることが多かった。ただ、ちょっと輸液問題の比率が多すぎかと思う。レベルとしては前回よりやや難化かと思うが、削除問題次第である。
おそらくは今回不合格になる方々は、(1) 勉強の絶対量が足りなくて一般問題がとれなかったか、(2) マイナーや重箱の隅の勉強に拘泥してバランスが悪くなったか、(3) 直前期にキーワード暗記物を詰め込んで、本番でそれが出ると「出た!」と飛びついて臨床問題や必修臨床を落としたような人が多かったのではないかと思う。
対策であるが、もし次回以降も今回のような流れでいくようなら、メジャー系のキーワードもの(主要徴候を「来す疾患」リスト、代表的な膠原病や感染症の診断基準など)は早めに暗記してしまうこと、余裕があればなぜそういうキーワードになるかを考えること、精神科と公衆衛生は広めに学習すること、合格だけを考えるならマイナーは悪性腫瘍・全身疾患・救急疾患に絞ること、臨床問題は「診断はできてあたりまえ、診断がついてからが勝負」という心構えで臨むことなどかと思う。特に必修臨床では独特の緊張感の中で解かないといけないが、そういう時でも、通り一片のキーワードに反応するのではなく、重症度などをイメージしながら解けるようになれるように自分のメンタルを鍛えてみてはどうだろうか。